Vol.15 集成材、輸入材は本当に強いといえるのか。

大手住宅メーカーでは一般的に使用される集成材や、輸入材。
地元材よりも、そういった材が一般的に重宝されている理由について語ります。
四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2009年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。
[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長
構造材の話で言うと、年輪の詰まった木は、岡山県内にはほとんどないといっても過言ではありません。あるとすると国有林、国有林の中に1メートルを超えたものがありますが、文化財保護の関係上、特殊なものにしか使うことはできません。そういった木材で家を建てるとなると、大変な金額になります。
そうなると次に、輸入材に頼らざるを得ないということになるわけです。そうした場合、大手住宅メーカーさんは間伐材を利用してチップにしつなぎ合わせる、集成材を使うという方向に移行しています。曲がりや変形が少ない、冷暖房をつけても乾燥しないということが特徴で使われるようになりました。
ただ、集成材は木の機能、性質のいいところを抜いてしまうわけですから「短期強度は強いが長期強度は弱い」と思っています。これも私が若いときに、集成材が出たという事で使ったわけです。ところが20年、25年、30年経って建物を壊してみると、「強い」とされた集成材は腐ってしまって、もう根元はないんですね。その時点で「集成材は使ってはいかん」と思いました。「短期強度は強いが長期強度が弱い」というのはそういうことなんです。
では、地元の構造材で、それだけ年輪の詰まったものがあるかというと、なかなか無い。あってもコストはアップしてきます。年輪の目の大きいものはあるんですよ。でもそれよりももっと安くて強く長くもつ構造材はないだろうかということになります。そこで今、豊富で安定的に入ってくるのが、輸入材の米松になります。米松というと「安い」というイメージがあると思います。日本の材でもそうなのですが杉の目の大きいもの、節の多いものは安いんです。米松より安いものもたくさんあるんです。だから米松の中にも安いものと高価なものがあるのです。そして年輪と年輪の間が5mm以上あいた米松の乾燥材があってそれがもてはやされています。
これはなぜ、そういうものでやるのかというと、まずは安く仕入れることができる。人工乾燥をかけるわけですから、年輪の目の大きいほど、中の水分が抜けやすい、だから短期間で乾燥できるというメリットがあるわけです。それはあくまでビジネス上の営利目的の手法であって、家のためにはならないわけです。だから米松の中でも、目の詰まった1mmもない、樹齢何百年も経ったような構造材を梁、桁として使ってやれば、この辺りの目の大きい地松や杉、檜などよりもはるかに強度が強くて耐久性があると思っています。あとはお施主様の要望なので、説明は全てしますからその中から選んでもらう、というのが現状です。