古民家再生はなぜ難しいのか|手刻みと職人の技でつくる工房での作業(古民家リノベ岡山)
手仕事の最盛期、工房で刻まれる時間
ただいま工房では、手仕事の最盛期を迎えています。
木の香りに包まれた空間の中で、職人たちが一つひとつの材と向き合いながら、丁寧に加工を進めています。
現在取り組んでいるのは、ヒノキ材を用いた木造小屋の製作です。
大きな材を扱いながら、幅の広い梁をRに型取り、建物としての形をつくり上げていきます。
私たちはこれまで、新築だけでなく古民家再生や古民家リノベーションを通じて、多くの建物と向き合ってきました。その経験が、今のものづくりの土台になっています。
また、昨年は東京で茶室のプロジェクトにも携わらせていただき伝統と現代が融合する空間づくりの中で、改めて「手仕事の価値」を実感しました。
そして今年も、新たな挑戦の中で技術を磨いています。
古民家再生が教えてくれた「図面だけではつくれない家」
一般的な新築住宅では、図面通りに施工を進めることが基本となります。
もちろん精度の高い仕事が求められますが、ある意味では「図面で決まった形」をつくる仕事でもあります。
一方で、古民家再生や古民家リノベーションは全く異なります。
古民家には、一棟一棟それぞれの個性があります。
梁の曲がり、柱の傾き、長年使われてきたことによる歪みやクセ。
プレカットに頼る現代の新築の図面だけでは把握しきれない要素が数多く存在します。また、古民家再生でも、古民家の良さを抑え、部屋の中を柱を隠しボードで仕上げてしまい、新築同然にするような古民家再生もあります。
そのため現場では、職人が状況を見ながら微調整を繰り返します。
「ここを少し削る」「ここは逃がす」「ここはあえて活かす」
そうした判断の積み重ねによって、最終的な仕上がりが大きく変わります。
つまり古民家再生は、
設計図面+現場での判断力+職人の技術力
この三つが揃って初めて成り立つ仕事です。
手刻みの現場に宿る、職人と設計の一体感
今回の木造小屋の製作でも、まさにその考え方が活きています。
木と木をつなぐ「継手(つぎて)」は、金物を使わずに構造を成立させる日本独自の技術です。
さらに「込み栓(こみせん)」で固定することで、強度と美しさを両立させます。
そして今回は、アール(曲線)を描く構造。
これは直線以上に精度が求められ、図面通りにいかない部分も多く出てきます。
そこで重要になるのが、設計と職人の連携です。
私が担当する岡山の古民家リノベーションの現場では、設計図だけでは詳細が現せない古民家の現場では設計と職人が相談を重ね収まりを決めたり、建物の劣化状況を確認したり、耐震性を保つため劣化状況の確認をしたり、なんと言っても手元に職人がいることで、密に連携がとれ逆に設計図以上の古民家が出来上がる体験をしてきました。
設計が意図する形を理解しながら、現場でどう納めるかを判断する。
その場で考え、手を動かし、微調整を繰り返す。
古民家再生で培われてきたこの力が、今回の仕事にもそのまま活きています。
削っては合わせ、また削る。
その積み重ねが、強く美しい構造を生み出していきます。
なんば建築工房では、長年培ってきた経験と多くの職人がこの技術を支えているため古民家リノベーションや、古民家再生分野で支持されてきました。
挑戦を続けることが、お客様への価値になる
私たちは、ただ同じ仕事を繰り返すのではなく、常に新しい挑戦を続けています。
昨年の茶室プロジェクト、そして今回の木造小屋。
一つひとつの仕事の中で、技術を磨き、引き出しを増やしてきました。
古民家再生でも、新築でも、
「その家にとって何が最適か」を考えられるかどうか。
それは経験と挑戦の量で決まります。
私たちはこれからも、手仕事の価値を大切にしながら、
より良い建物をつくるために挑戦を続けていきたいと考えています。