なんば建築工房
スタッフブログ

放置される古民家の現実と、私たちの使命

岡山県倉敷市で、古民家再生や調査に力をいれているなんば建築工房の正田です。

先日、ある空き家となった古民家の現場確認に伺いました。現地に足を踏み入れると、かつて人々の暮らしの営みがあった面影を残しながらも、長年放置されたことによる傷みが随所に見られました。

建物は全体的に雨漏れが進み、床が抜け、梁が折れ、壁も崩れかけており、内部にはなんと竹が生い茂り、段ボールを突き抜けて天井へと伸びている光景まで…。自然の力は時に美しく、時に容赦なく、建物を飲み込んでいきます。思わず目を疑うような状況でもありましたが、同時に胸が締めつけられる思いでした。

近年、日本各地でこのような“放置された古民家”が急速に増えています。人口減少や高齢化、相続の問題、維持管理の負担など様々な要因が絡み合い、大切に住み継がれてきた古民家が誰にも引き継がれず、朽ちていく姿を見る機会が増えてきました。

私たちなんば建築工房は、創業138年の工務店として、古民家を“残すべき文化”として捉えています。古民家は単なる建物ではありません。そこには先人たちの知恵や暮らしの工夫、地域の風土に合った建築技術が息づいており、それは日本の住文化そのものです。だからこそ、このような貴重な建物を一棟でも多く次の世代に繋げていくことは、私たちに課せられた使命だと感じています。

もちろん、すべての古民家が再生可能というわけではありません。今回のように、状態がかなり厳しいものもあります。ですが、もしもう少し早くご相談いただけていれば、今よりも選択肢は広がっていたかもしれません。活用できる古材を取り出して再活用する、あるいは一部を残しながらリノベーションするなど、さまざまな可能性があったはずです。

「まだ活かせるのか?」「もう解体すべきなのか?」――迷われている方も多いと思います。私たちは、古民家鑑定士や建築士としての専門的な視点から、その建物の可能性を一緒に見極めるお手伝いをさせていただきます。

古民家は早めの判断が大切です。放置されることで劣化が進み、再生の道が閉ざされてしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、技術と想いを持って、再び命を吹き込むお手伝いをいたします。