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【古民家再生】古民家鑑定士が教える古民家耐震の進め方とは?

倉敷市児島で創業139年を迎える老舗工務店、なんば建築工房。長きにわたり地域に根ざした家づくりを行ってきた同社には、古民家再生に特化した専門家が在籍しています。

今回は、古民家鑑定士や伝統再築士の資格を持ち、かつ岡山県内で古民家鑑定士を育成するインストラクターとしても活動しているなんば建築工房代表の正田順也氏に古民家リノベーションにおける「耐震アプローチの違い」について伺いました。

古民家の改修を検討する際、直面する「耐震への不安」と「費用の壁」。家を安全に残すためにはどのような選択をすべきなのか、プロが解説します。

正田 順也 (まさだ じゅんや)
大阪生まれの奈良育ち。大学進学をきっかけに岡山へ移住し、住宅業界歴は30年超。
職人の伝統技術を活かすため、古民家再生・空き家利活用・地域づくりに力を入れている。

(一社)全国古民家再生協会岡山第一支部 代表理事
(一社)全国空き家アドバイザー協議会 岡山県倉敷支部 事務局長
町おこし団体 下津井シービレッジプロジェクト 事務局長
古民家鑑定士インストラクター ほか


家の構造を知る。「伝統構法」と「在来工法」の違い

――古民家の耐震改修を考える際、まず何から検討を始めるべきでしょうか?

正田「まず、ご自宅が『伝統構法』で建てられているのか、それとも現代の『在来工法』で建てられているのかを正しく判断する必要があります。この2つは、建物の成り立ちから地震に対するアプローチまで、根本的な考え方が異なります。

在来工法は、コンクリートの立ち上がり基礎の上に土台を敷いて家を建てる構造です。壁に筋交いなどを入れて建物をガッチリと固め、地震の力に『耐える』ことを目的とした『剛構造』となっています。

一方、戦前に建てられたような古民家に多い伝統構法は『石場建て』と呼ばれ、自然石の上に直接柱が乗っている状態です。コンクリート基礎はありません。これは、地震の際に建物が揺れることで力を『逃がす』ことを目的とした『柔構造』です」

――基礎のコンクリートの有無は、一般の方でも見分けることができるのでしょうか?

正田「コンクリート基礎の立ち上がりがあるかないかは、一般の方でも比較的判断しやすいポイントです。しかし、実際には見えないように後々の工事で隠されているケースもあります。

さらに判断を難しくするのが、過去に増築やリフォームを行っている『混構造』のケースです。例えば、40年前に伝統構法の母屋に対して、在来工法で増築をしているような場合、2つの異なる構造が一つの家の中で混ざり合っています。このような混構造は地震に対する揺れ方が複雑になるため、専門家であっても目視だけでは判断が困難です。まずは家の造りを正確に調査・実測することが不可欠となります」

一般的な工務店は「古民家を在来工法で直す」ことも

――一般的な現代の建物 (在来工法) と、古民家 (伝統構法) の耐震を進めていくステップの違いについて教えてください。

正田「一般的な現代の建物(在来工法)の改修であれば、現在の建築基準法に基づき、壁の量を計算(壁量計算)して足りない部分を補強するというステップで進みます。

一方、古民家の場合、まずはその家が在来工法なのか伝統構法なのか、あるいは過去の増築で両方が混ざった”混構造”なのかを見極めるステップが最初に必要になります。そして伝統構法であると判断された場合、弊社では古民家に特化した専用の調査(古民家再生総合調査など)を実施し、建物の揺れ方などを実測して数値的な根拠を出すステップを踏みます。このように、建物の性質を正しく把握し、専用の調査で根拠を示すという段階を踏まなければ、適切な耐震アプローチを決定できません」

――一般的な建築会社は、古民家に対しても在来工法での改修を提案することが多いのでしょうか?

田中「通常、伝統構法の耐震工事経験が豊富でない限り、伝統構法を評価するための指標やノウハウを持っていない会社が多いです。一般的な診断では、現代の建築基準法の指標である、壁量計算などで計算されます。すると、壁の少ない古民家は”危ない”という診断結果になります。伝統構法のまま数値を証明する根拠を出せないため、結果として、在来工法のやり方で建物をガッチリと固める提案しかできないのが実情です」

――在来工法で直した場合、古民家の意匠や間取りにはどのような影響が出ますか?

正田「古民家特有の『田の字型』の開放的な間取りは、耐震用の壁をたくさん作らなければならないため、細かく区切られてしまいます。莫大な費用がかかる上に、古民家本来の良さや大空間が失われ、お施主様の思い描いていた住空間を実現できなくなるケースがあります」

伝統を活かし、コストを抑える「古民家再生総合調査」

古民家総合鑑定
伝統耐震診断

――なんば建築工房ではどのようなアプローチを行っていますか?

正田「当社では古民家の場合、県の補助金ありきで進めるだけではなく、弊社も会員になっている古民家再生協会による『古民家再生総合調査』の実施も選択肢としてご提案しています。

これは、在来工法の基準ではなく、古民家に特化した専門の調査です。実際に建物の揺れ方などを実測し、数値的な根拠を示した上で、伝統構法の『揺れを逃がす』特性を活かした改修計画を立てることができます」

――伝統構法に基づく改修の場合、具体的にはどのような調査・施工を行うのですか?

正田「既存建物の特性を活かし、接合部の補強や『制震ダンパー』などの装置を用いて建物の弱点を補う手法をとります。ダンパーを使用するのは揺れのエネルギーを吸収し、足りない耐力を補うという考え方です。

これは、実際に建物を揺らしてみて、どの方向の揺れに強い/弱いのか、どの部分の強度が足りていないかなど、実測データをもとに、必要な箇所に必要な分だけ補強を行います。また耐震工事後、家の仕上げに入る前に再度調査を行い、計画通りの数値が出ているかどうかの確認を行うのが大きな安心ポイントです」

――古民家再生総合調査は耐震以外の調査も行いますか?

正田「『古民家再生総合調査』は、①建物の価値を総合的に診断する古民家鑑定、②床下を見てシロアリなどの害虫被害の状況を確認する床下インスペクション、③実際に建物を揺らしてみて測定を行う伝統耐震性能評価の3点を含み、有料で実施しています。
古民家を全体的に評価して、その後の計画を立てていきます。
初期の調査費用は高額で驚かれるかもしれませんが、県の補助金を取得して在来工法で工事をするよりも、トータルコストが下がるケースもあります。」

岡山県内で唯一無二。なんば建築工房の強み

なんば建築工房 ショールーム

――なんば建築工房だからこそできる、古民家再生の強みとは何でしょうか。

正田「岡山県木造住宅耐震診断員として、在来工法のアプローチと県の補助金対象工事に対応できること。そして同時に、古民家再生協会の会員として伝統構法に基づいた専門的な診断と改修も自社で行えることです。

この2つの視点を持ち合わせ、さらに自社で施工まで一貫して行える工務店は、岡山県内でも非常に限られています。在来工法で直すべきか、伝統構法で直すべきか、フラットな視点で比較し、根拠をもとに最適な提案が可能です」

――最後に、岡山県内で古民家リノベーションを検討されている方へメッセージをお願いします。

正田「ご自宅が在来工法なのか、伝統構法なのか、あるいは混構造なのか。お客様自身がそれを正しく判断するのは困難です。だからこそ、まずは私たちが実際の建物を拝見します。

家は、ご家族がこれから20年、30年と安心して暮らすための大切な基盤です。耐震工事は安全のために必須の要素です。他社で『建替えするしかない』『壁が少ないから危ない』と言われた場合でも、まずはご相談ください。客観的な数値と根拠に基づき、安全性と費用対効果のバランスが最も良い、その家に最適な方法をご提示いたします」


リノベーション、古民家再生のお問い合わせはなんば建築工房へ

まずはお気軽にご相談ください。
「実家を二世帯にしたい」「平屋化して将来に備えたい」「古民家を店舗に活用したい」――複数案を比較し、最適解を一緒に決めていきます。

なんば建築工房は、自社職人による確かな施工力と、古民家を含む難しい案件への対応力で、多くのお客様に選ばれてきました。住まいの将来に悩んでいる方、他社で断られた方も、ぜひ一度ご相談ください。

また、古民家再生総合調査(有料)も行っています。
なんば建築工房は、一般社団法人全国古民家再生協会(以下「古民家再生協会」)の会員です。古民家再生協会は、古民家で唯一の全国団体で、古民家鑑定士の有資格者が加入できます。所属しているリフォーム事業者の会員が古民家の調査(インスペクション)をおこない、古民家の状態を明確にし、再生に適した再築基準を用いて安全・安心で快適な暮らしを実現するために活動をしています。

お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。
または資料請求ページより、古民家再生の事例が載ったパンフレットをお届けいたします。