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会長インタビュー

Vol.26 これからの棟梁に必要なこと

自分で考えて家を作る、そんな棟梁が増えていくために、必要なことを語ります。

四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2016年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。

[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長

これからの棟梁に必要なことはなんでしょうか?

木組み、伝統工法を重んじながら勉強し、現代の建物と調和させる、というのが私の考え。

古い家を直している職人がそこまで感じ取るかどうか、それを現場に行って言わないといけない。この丸太がこうなっていて、下で受けてるから強いんだとか、私は自分で見て分かったが、若い大工は漠然と見ているだけかもしれない。分かっていてくれていたら嬉しいが、それを教えるのが私の仕事。言うてやらないと気づかない。板の裏を見てなるほどな、ここまでやってるのか、と。

そういう知識がつくと、良いプランがぱっと出てくるようになりますか?

そういう頭で発想するし、自信満々で言えますから、納得性が違うし、迫力が違う。施主さんにとって安心感になる。自分が分かってないと、施主さんを納得させることはできない。営業マンというのは仕事が分かっている人がやるのがベスト、だけどそれだけじゃダメ。設計力・プラン力も必要だし、空間構成がぱっと出る人じゃないと。

会長のようになれますか?

なれますよ。なってもらわないといけない。空間構成は好き嫌いがあるじゃないですか、これは個人差があっていい。

木の手業の跡を見て、それを今の自分が建てようとする家に応用するかどうか、心がけ次第。解体された家の木材が帰ってきたら、ほぞひとつでも、ありひとつでも、職人と話をする。この木は檜かな、杉かな、とか。クリだ、ケヤキだ、とか言って、古いつがを削って新しいつがをみて、材木の当てあいっこをしたりもする。

それもひとつ知識を増やすというか、職人も当てたら粋に感じる。鼻高々になる。それを褒めると職人は喜ぶ。たまに仕事を見てひとこと褒めると、またやってやるぞとなり、自然と職人としてのプライドも育つ。上から図面ができて、これをやれと渡されるだけだと育たない。

こんなイメージだから、あとは任せたよという言い方のほうが、職人が作るときに考える癖がつく。図面を渡して図面通りにしろというと、考える職人は育たない。使い捨てになる。職人の芽をつむことになる。考えてやれよと言ったら、自分で考えだす。上からくさびをうってみたり、色の違う木を入れてひとつの模様として出してみたり。いちょうのようなイメージにしてみたり。自分で考えだす。

自分で考えることが絶対必要。そうすれば、こっちも楽になる。ここは許したらだめというところはきちんという。そういう自由な発想のときは、ぽーんと任す。そういうやり方が職人を活かすというやり方。職人も喜ぶ。

そうすると職場が明るくなる。棟梁を育てるには、考える癖をつける必要がある。全員ができるわけじゃないが、のびてくる人もいる。図面屋よりも上になってくる。それが昔でいう棟梁になってくる。営業関係もできる。お茶やお花もできる。

棟梁はお茶もお花もできるんですか?

できないと、棟梁は務まらないと僕は思う。茶室なんかも表と裏もあるし、勝手があるじゃないですか。逆に床をつけたら逆勝手になる。お茶をやってないと、茶室はできない。自ずからしないといけない。それに、やっていたら面白くなるし、それがものを見る目を養ってくれる。

そういうことがあった上での発想が、なんばさんの設計事務所との違いですか?

おそらく。いいとかわるいとかじゃなく、それが私のスタンス。ものの見方、考え方、それを受け取って自分の仕事にどう生かすか。