Vol.24 社員大工を育成している理由

自社で大工を育成し、社員大工を抱える工務店は少なくなりました。
そんな中でも、社員大工を育成している理由について語ります。
四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2016年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。
[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長
社員大工を育成しているのはなぜですか?
例えば、一軒300万円で外注大工さんに、「はい、やってください」とお願いしたら、外注さんは、300万円を150日で済ませれば日当2万円だし、早くすればするほど儲かる。社員大工は一日どれだけ仕事をしようが給料は変わらない。会社の利潤を確定させるなら外注なんですよね。だけど、社員としておいて、十分に仕事をさせる。ただ、計算が成り立たないし、どれだけ働いても変わらないとなると、ゆったり怠け者になる、諸刃の剣。できるだけ、どこまで頑張れるか、社員大工として常用で使っています。腰を落ち着けて仕事をしろと。そうすれば、絶対に粗い仕事はしない。自分が納得するまで、削るなら逆目がとれるまで絶対削る。その方がクレームが来ないんです。今はそちらを選んでいます。
業界全体で大工が減ってますよね?
僕は、粋に職人という自覚を持たせるために、ふさわしい仕事を受注して、そういう仕事を職人に与える。これがあるからうちは職人が増える。職人大工になろうというのは、本当に大工になりたいという気持ちで入ってくるわけ。
それが意に反して、今の建物は、工場で出来たものをビスでとめるだけ、これでは大工とは呼べないんですよね。だから大工に失望して、大工のなり手がいなくなる。技術の低下が起きるから工業製品で素人で出来るものに変わる。一人いなくなれば、そっちにばっかり傾いてしまう。どこまで無垢の木できちっとした仕事ができるか、本当にそういう人が大工をやろうとしたときに当社がある、そういう位置づけになりたいし、古いものが簡単に入れられるような工務店でありたい。今は、手で組んだ木組みの家が作れる工務店は半分くらいじゃないかな。
業界全体でみると本当に残念なくらい少ないですよ。だから今いるうちの若い子は宝になると思う。この四月から、四方転びっていいまして、踏み台があるじゃないですか。四方に斜めに足が踏んばっているもの。これの仕事の講習会を会社でするんですけどね、うちの職人7名対象にする予定です。若い子向けに。
業界全体でも育成を。大工も昔は見て覚えろと言っていたが、もう教えてやっていかないと。機会が少ないですから。