Vol.14 柱が太ければ本当に強いのか?

木の寿命は年輪のつまり具合で決まる。
木の見極め方を語ります。
四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2009年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。
[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長
最近、「地産地消」が建築においても推奨されているようですが。
地産地消。確かに地元に生えた木で伐採をして家を建てる、これがベストです。しかし今の現状において地元で取れたもので1軒の家がまかなえるかというとそれはムリです。地産地消とはもう少し広げて考えないと家は建たないというのが現状です。
種類が少ないということですか。
そうですね。建物の寿命の話になってくるんですけど木の寿命は何で決まるかというと木が何年経った木なのかが重要なんです。
50年経った木なのかそれとも100年なのか、それから年輪の詰まりようです。年輪が詰まっている方が絶対に長持ちするわけです。大体年輪の3倍持つと木造はいわれています。100年経った木を使えば300年もつし30年経った木を使えば90年で駄目になります。
なぜそんなことを言うのかというと、私は小学校2年の時に、死んだ爺さんの大工道具を親父からもらって、遊びながら使っていました。小学校高学年、中学校になってくると、学校が休みのときは現場に出ていました。当時は古い家がいっぱいあったわけです。100年、200年経った家がやはり使い勝手が悪いとなるという事で改造をする、そうなってくると私たち子供でも現場へ入って天井を落としたり壁を落とすのです。そうすると柱、土台が出てきます。その時に腐っている柱、腐っていない柱が出てくるわけです。
そうしてみると、杉の赤身や檜の芯持ち材、栗の土台というのはしっかり残っているんですね。切ってみるとわかるのですが、やはり目が粗いとか若い木を使っている柱、土台は腐っているんです。文献にも書いてありますが、やはり自分の目で確かめることで「家を100年保たせよう」と思うとどういう木を使えばよいのかが体験的にわかってくるわけです。
最近よく「全ての柱を12センチにしますよ」とか「うちは10.5センチです」とかありますが、樹齢100年で10センチの柱と樹齢20年で12センチの柱、どちらが強いかというと間違いなく樹齢100年で10センチの方なのです。だから「オール檜4寸角」と広告に書いてありますが、大事な事は製材した木が何年経った木で、どれくらい目が詰んでいるかということなのです。それを見極めて材料を使うこと、それが大事なのです。