Vol.13 職人育成は重大な使命

技術の伝承なくして将来を見据えた家づくりはできない。
職人の育成に懸ける思いを語ります。
四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。
[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長
職人の育成は一番コストがかかる部分ですよね。
そうです。人件費をかけてあげればいいんですよ。工場にかける必要はない。工場でやるということは、工場で電気を使う。それは僕らがやっても電気は使いますが、そんな大きなものは使わないじゃないですか。その時のロスがある。運送がある。トラック走らせて、運送コストがかかりますよね。すべてそういうものが要らなくなるんです。それで、一次素材のものを、純粋に水を入れたり切ったり削ったりだけの加工で済むわけですから、そこには制作上にCOとかの環境を汚すものは使わない訳じゃないですか。それでいて、長くもつサイクルの家ができるのなら、これくらい素晴らしいことはない。
全体がそうやって動けば、環境問題も解決できるということですよね。
私はできると思います、建築に関してはね。だけどすべて世の中の仕組みが今そうでしょ。大量に作って、大量に売る、そこでマージンを得る。利益率、売上高。そればっかり効率追求で、こんな今の動きになってるわけですから。じゃなくて、日本はもう円熟を迎えたんだから。これ以上はもう無理ですもん。なら振り返ってみて、今までの悪かったものをわきまえて、もう少しゆったりしたサイクルで物を作ったり、物の良し悪しをそういうサイクルの目で、物づくりを見なさいよと。なら、どの物づくりが良いのか、というのがわかってくると思うんですけどね。要は安いもの作って、安いもの買って銭失いというのと同じ現状ですよ。ドイツなんか家づくり100年200年もつのはざらですもん。ドイツなんか100年ローンでしょ。そうならないと嘘なんです。そうすると、職人はそこできちっと腕が発揮できるし。
その方向に環境は整いつつあるということですね。今までの家づくりの作っては壊しというのをみとめて。
転換期ですから、まだどういう試合展開になるかはわかりませんから、私も今動いてないですけれども。絶対にいるのは職人の技術なんです。この伝承なくして建物はつくれない。今言ったような家づくりには、職人の技術が不可欠ですから。その動きがいつ来るかということであって。まだ今ではない。だけどその時が来たときのための備えとして、技術というものを決して忘れちゃいけないし、できなくなっちゃいけない。できるようにしとくと。工務店のアドバイスみたいなもんだ。
業界として大工さんを養成する学校がバブルの時にできたりとか、そういった動きはありましたよね。
ありましたね。だけど、要はいずれにしろ、みな個々の努力なんですね。だから同じ目的意識を持って、個々の意識が高揚して、その立場、職人の立場だったら、立場として、「僕らはもっともっと技術を磨かなければいけないんだ」という自覚をさせる教育が、本当の教育でしょうね。で、日々仕事を通じてもうひとつ自分の技術の習得があるわけですから。そういう仕事を、私の場合は与えてやる、それが仕事ですね。もう一歩ステップアップした仕事を要求してやる。で、来たるべき時に備えておくという発想でしょうかね。