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会長インタビュー

Vol.11 失敗したら直せる余力の必要性

シロアリ被害で得た教訓。
お客様に対する会社としてのあるべき姿を語ります。

四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。

[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長

ヒノキ材を使用すること、床下の高さを確保すること、床下にも断熱材を設けること。これがシロアリ対策に大切だということですね。

はい。これが、私たちの地域では最適な対策だと考えています。

ただ、地域によって考え方は異なります。例えば、県北の方へ行くとシロアリ自体がいない地域もあります。一方で、九州や、この瀬戸内海沿岸では非常に多い。岡山市内では「うんざりするほどいる」と言っても過言ではありません。全国的に見ても、多い地域・少ない地域と様々です。

――シロアリの被害というのは、すぐにはわからないものなんでしょうか?

そうですね。実は過去に、ひとつ失敗した事例があります。
高気密・高断熱の工法を取り入れた際に、基礎の外側に断熱材を入れる基礎断熱を行いました。仕様書にそう記載されておりましたので、その通りに施工したわけです。

ところが、完成から半年も経たないうちに、「シロアリが出た」と連絡があったんです。最初は信じられませんでしたが、確認すると、断熱材の小口(端部)からシロアリが侵入し、土中から断熱材内部を食い進み、ついには木部にまで達していたのです。

それは大変な事態でしたね。

はい、すぐにすべての断熱材と外壁を撤去し、今度は基礎の内側に断熱材を設け、土と接しないように再施工しました。メーカーの担当者も「これは参った」といった顔をしていましたが、断熱材自体はメーカーが無償で再支給してくれました。しかし、施工の手間や費用は、すべて当社が負担しました。本来ならそこまでの責任はないかもしれません。自然現象による被害で、仕様書通りに施工したわけですから。けれども、やはりお客様のことを思うと「人情」と言いますか、私の判断で全て負担させていただきました。

新しい工法を取り入れる際には、相応の学びと覚悟が必要だと痛感しました。失敗を重ねて、ようやく「これは二度とやってはいけない」と身をもって理解できるようになるのです。
私は、自分がこれまで手がけた住宅すべてが完璧だとは思っていません。失敗して、学んで、改善する。その積み重ねが家づくりなんです。

これからも、きっと学びは続いていくと思います。新しい技術や資材は次々に出てきますが、それを鵜呑みにせず、自分の目と知識で検証しながら取り入れていくことが大切です。

たとえメーカーが「これが一番いい」と謳っていても、安易に飛びついてはいけません。そして、万が一失敗したときに、きちんとやり直せるだけの余力が会社にあること。それもまた、誠実な家づくりには不可欠だと考えています。

断熱や気密の施工方法にもさまざまなやり方がありますよね。

そうですね。特に外断熱の工法にはいろいろなパターンがあります。
たとえば、高気密住宅の実現にはパネル式の工法があり、接合部に気密テープを貼る方法などが一般的です。

気密性能の種類についても、少し教えてください。

よくOMソーラーなどの工法とセットで気密性が語られますが、気密性というのは、室内の空気を外に逃がさず、計算どおりに空気の流れを制御するために必要な要素なんです。
もし壁や窓、床下などから外気が入ってしまうと、空気の流れが乱れ、空気の循環がうまくいかなくなります。空気の流れが設計通りでないと、例えば「きれいな空気をどこから取り入れ、どこから排出するか」という計画が成立しません。結果、部屋ごとの温度差ができたり、エネルギー効率が落ちたりするわけです。ですから、しっかりと気密を確保し、吸気と排気のルートを設計に基づいて設定することが大切です。たとえば居間や寝室といった部屋から空気を取り入れ、洗面所やトイレ、廊下などから排気するようにする。そうすることで、家全体に空気が流れるようになり、室温が安定します。もちろん、どこまで気密を追求するかは非常に難しい問題です。

具体的な手法はどのようなものがありますか?

たとえば、構造パネルにベニヤ板を貼り付けて気密性を持たせたり、土壁の上にビニールを貼るだけでも気密は確保できます。要は、「気密が取れていればよい」わけで、市販の専用パネルでなくても十分に可能なのです。

いろいろなメーカーが独自の呼び方をしていますが、基本の理屈は変わりません。だからこそ、既成品に頼らず、自分たちの判断と技術で取り組めるようにしておくべきだと思います。