「古民家は解体しかない」と言われた方へ。正しい耐震診断で住み継ぐ選択ができます|岡山・倉敷の古民家再生
例会で学んだ「古民家耐震」という考え方
先日、私が支部長を務めている全国古民家再生協会 岡山第一支部で例会を開催しました。テーマは「古民家の耐震」。古民家は現代住宅と同じ基準では評価できないため、耐震の理解は非常に重要です。
古民家は、現代住宅のように「固めて地震に耐える」構造ではなく、石場建ての上でしなりながら力を逃がす構法で建てられています。
この「逃がす構造」を理解せずに、現代の耐震基準を当てはめてしまうと、計算上は強度不足に見えることが多くなります。
今回の例会では、
・既存軸組の力の流れ
・壁配置と剛性のバランス
・古材の強度と経年変化
・耐震計画に基づく補強設計
などを実物例とともに学びました。
ここで改めて確認したのは、
**古民家は「弱い家」ではなく、「読み解き方が現代住宅とは違う家」**だということです。
なぜ“古民家は解体しましょう”と言われるのか
ところが、一般の工務店や住宅メーカーに相談すると、
「古民家は耐震も断熱も難しいので、新築に建て替えましょう」
と言われるケースが非常に多いのが現実です。
これは、古民家が本当に危険だからではありません。
単に、
古民家の構造を評価し補強計画を立てる知識と経験を持つ人が少ないからです。
現代工法を前提にすると、古民家は「合わない」ものとして扱われてしまいます。
結果、「解体」という判断が先に立ってしまう。
しかし、私たちが現場で多くの古民家を見てきて強く感じるのは、
正しく診断し、適切な耐震計画を行えば、古民家は十分に住み継げる家になるということです。
耐震性能に職人の手仕事を重ねる、私たちの古民家再生
当社ではまず耐震診断を行います。
ここで建物の現状の耐震特性・弱点・改善可能性を明確にします。
次に、耐震計画を立てます。
建物の構造に合わせ、どこに壁を増やすか、どこに金物を入れるか、どこにダンパーを入れるかを論理的に設計します。
そして、計画に基づき、職人が適切な位置に補強を行います。
ここに“職人の感覚任せ”はありません。
しかし、ただ補強するだけでもありません。
私たちは、
耐震性能という「安心」に加え、手仕事による「佇まいの美しさ・居心地の良さ」を重ねていく。
梁や建具、欄間、床板、痕跡の残る柱。
古材利活用は「古いものを残す」ではなく、
住まいの物語をつなぐことだと考えています。
そして、古民家に性能向上の考え方を取り入れながら再生していくことは、
単なる建築ではなく、
日本の住文化の継承そのものです。
一軒でも多くの古民家を、
「住み継げる家として」
「安心して暮らせる家として」
未来へ残していきたいと考えています。
これからも、古民家再生・古民家リノベーション・古民家耐震・古民家断熱を通じて、
地域にある大切な記憶をつないでいきます。