倉敷市で開催「空き家の悩み解決 大相談会」― 岡山から考える古民家再生とこれからの家づくり

倉敷市・岡山で深刻化する空き家と古民家問題
2025年9月14日、ライフパーク倉敷で「空き家の悩み解決 大相談会」を開催いたしました。当日は予想を超える35組の方々にお越しいただき、倉敷市や岡山における空き家問題の深刻さを肌で感じる一日となりました。
少子高齢化や人口減少が進む地方では、空き家の増加が大きな社会問題となっています。特に岡山県は全国的に見ても空き家率が高く、倉敷市でも「実家をどうするか」「相続で受け継いだ家を維持できない」といった声が数多く寄せられています。その中には、歴史的価値のある古民家も多く含まれています。古民家は日本の伝統的な建築様式を色濃く残す住文化の象徴であるにも関わらず、活用方法が見いだせず解体されていく現実があります。
空き家相談会で見えた課題と古民家リノベーションの可能性
今回の相談会には、登記や相続に悩む方、建物の老朽化に頭を抱える方、さらには「思い出が詰まった実家を残したいが、どうすればよいかわからない」という方まで、さまざまな事情を抱えた相談者が訪れました。
私たちは、
①ご本人のご意向の確認
②登記・相続関係の整理
③建物・土地の現状確認
④適切な対応策のご提案
という流れで一つひとつの事例に向き合いました。
その中で特に印象的だったのは「古民家を残して活用したい」という希望です。単なる修繕ではなく、暮らしに合わせて再生する「古民家リノベーション」への関心が高まっていることを実感しました。古民家を活かした住まいや店舗、宿泊施設などは、倉敷市の美しい町並みにも調和し、地域の観光や経済活性化にもつながります。空き家古民家を壊すのではなく、新たな価値を与えることこそが、これからのまちづくりに欠かせない視点です。
参考)店舗・宿泊施設事例
古民家再生は日本の住文化を守る取り組み
古民家は単に古い建物ではありません。百年以上の時を経て乾燥し強度を増した梁や柱、職人の手によって丁寧に組まれた木組み、漆喰や土壁の調湿性能など、現代の工業製品では再現できない価値を備えています。また、一般的な工業製品とは違い木材は200~300年かけ強度が2割から3割増していきます。
しかし、こうした価値が十分に理解されないまま取り壊されるケースも少なくありません。古民家再生の意義は、建物を残すことだけでなく、日本人の暮らしや文化そのものを守ることにあります。
実際に、岡山や倉敷市では古民家を再生したカフェや宿泊施設が注目を集め、地域外からの来訪者を呼び込む効果も生まれています。古民家リノベーションは「暮らしを豊かにする」だけでなく「地域の魅力を高める」役割を持っているのです。
最近では、先代から受け継いだ古民家を解体するか建替えするかなどの相談も増えてきております。
このような相談も私たちの経験や実績をもとに、古民家の耐震性や断熱性など基本的な性能を加え、古民家の良さを生かした提案により1棟でも多くの古民家が残せるよう、古民家総合鑑定で古民家鑑定、床下診断、古民家の耐震診断などを行い安心安全の古民家を残していく活動に取り組んでします。
参考)古民家再生事例
倉敷市の工務店として守り続ける職人技と家づくりの姿勢
なんば建築工房は、倉敷市で138年にわたり家づくりを続けてきた工務店です。私たちは、自社大工による手刻みや伝統技術を重んじ、手仕事ならではの温もりと安心を大切にしています。
古材の梁や板を活かすこと、欄間や建具を再利用して新しい住まいに取り入れることなど、古民家再生や古民家リノベーションを通じて、住まいの中に「歴史と文化を引き継ぐ価値」を織り込んでいます。こうした姿勢は単なる施工技術にとどまらず、空き家や古民家を未来へ残す社会的使命とも言えます。
また、新築住宅においても同じ理念を持っています。無垢材を活かした健康的な住まい、断熱性能や耐震性能を高めた安心の住まいを提案しながら、職人の技術を現代の暮らしに融合させています。家づくりを通じて地域に貢献し、次世代へ技術と文化を受け継ぐことが、これからの地方の工務店にとって必要だと思います。
新築・古民家リノベをお考えの方へ ― 地域とともにある住まいづくり
今回の空き家大相談会を通じ、改めて感じたのは「住まいづくりは地域とのつながりの中にある」ということです。倉敷市や岡山で新築住宅を検討されている方も、古民家リノベーションをお考えの方も、ぜひ「社会的な意義」という視点を加えていただきたいと思います。
空き家古民家を残すことは、ご家族の思い出や文化を未来に伝えることにもつながります。そして、その取り組みは地域を元気にし、職人の技術を守り、日本の住文化を次世代へと引き継ぐ力になります。
なんば建築工房は、家を建てるだけではなく「地域とともにある建築屋」でありたいと考えています。新築でも古民家再生でも、その根底にあるのは「住まいを通じて社会に貢献する」という姿勢です。これから家づくりをお考えのお施主様にとって、この理念が少しでも共感いただけるものであれば幸いです。
参考)
日時:2025年9月14日(日)10:00~16:00
場所:ライフパーク倉敷中展示場
来場:35組(1名名前不明)
関係者:一社)全国古民家再生協会 岡山第一支部、(一社)全国空き家アドバイザー協議会岡山県倉敷支部
後援:倉敷市建築指導課、児島商工会議所
内容:空き家に関する8業種+行政と一緒にワンストップの相談会を行い空き家解決のきっかけを作る
今後:相談があった案件を連絡をとり解決に向けた動きをする。
紹介リンク (一社)全国古民家再生協会 岡山第一支部HP