地域の古民家を守り、未来へつなぐ建築を──下津井のまちづくり協議会に参加して

本日は、倉敷市下津井エリアにおける「鷲羽山・下津井まちづくり推進協議会」の会合に参加してまいりました。この協議会は、倉敷市まちづくり推進課さんをはじめ、地域で活動されている多くの団体が一堂に会し、まちづくりの未来について意見交換を行う貴重な場です。
参加団体は、地域のまちづくり団体やNPO、自治会、歴史ある「下津井回船問屋」、地域おこし協力隊、観光ガイド協会、大学の研究者、商工会議所、さらには町おこしに取り組む各分科会まで幅広く、地元を想う多彩な人材が集い、共に知恵を出し合いながら地域の課題や可能性に向き合っています。

なんば建築工房は、この協議会の立ち上げ当初より8年間、地域のまちづくりに関わり続けてまいりました。私自身も地元団体の運営や事務局長として活動しながら、空き家対策や移住促進、イベント運営など、多方面にわたる取組みに携わっております。

特に力を注いでいるのが、下津井のまち並みに残る「古民家の保全と利活用」です。北前船の寄港地として栄えた歴史あるこの地域には、時代の面影を残す味わい深い建物が多く点在しています。しかし、後継者不在や老朽化により、解体される古民家が後を絶たないのが現状です。
私たちは、それらを単なる「老朽物件」として処分するのではなく、「地域の文化財」として捉え、修繕・活用することで新たな命を吹き込むことを目指しています。空き家相談や耐震診断、古材の活用提案をはじめ、実際に移住者の住まいやカフェ、助産院、アトリエなどへと再生した実績も増えてきました。
このような取り組みを通して、職人が手間ひまかけて培ってきた伝統技術を実践の中で次世代に継承していく機会が生まれています。大工や左官など、現場で活躍する若手職人たちが、歴史ある建物の再生を担うという経験は、単なるスキル習得を超えて、地域に根差す建築の本質を学ぶ貴重な学びです。
地域のまちづくりにおいて、建築会社として何ができるのか。それは「家を建てる」こと以上に、「暮らしと文化の土台を支えること」だと私たちは考えています。古民家を活かしながら、地域の人と人がつながり、想いを未来へと受け継いでいく。その中で、地域に愛される建築会社であり続けたいと思っています。

そして最後に、まちづくりは「お金儲け」ではなく「人儲け」であると、私は強く信じています。人とのつながりが地域の力となり、結果として未来に残る価値が育まれる。そんな温かいつながりの中で、なんば建築工房の活動が少しでも地域の役に立てるよう、これからも誠実に歩んでまいります。