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実例紹介

施工事例

時を重ねた本堂を次代へ ― 吉塔寺 本堂改修工事

吉塔寺(正式には吉初山福壽院吉塔寺)は、岡山県倉敷市児島の地にあり、江戸時代の天保年間(1831〜1845年)に住職・圓明僧正によって開かれた児島八十八ヶ所霊場の本願所として長く地域の信仰を支えてきました。
この霊場は、四国八十八ヶ所巡りに倣い、児島半島各地の寺院を巡る文化として根づき、巡礼者や参拝者を迎え続けています。

本堂は多くの人々の祈りを受け止めてきた中心的な建物ですが、長年の風雨や時間の経過による傷みが見られるようになり、これからも安心して参拝いただくための改修工事を行うこととなりました。
歴史的背景や建物の佇まいを大切にしつつ、構造の補強や必要な修繕を丁寧に進めました。

(Before)玄関
広い土間は寒さが厳しく、加えて高低差もあることから、高齢の参拝者には使いづらい状況だった。

(After)玄関
土間の部分を小さくし、残りは板の間にすることで高低差を一段分解消した。
既存の板を再利用した階段は既存の半分に縮小し、高低差を活かした収納とし、手すりを新設した。
また、土間部分には瓦タイルを使い上がり框に間接照明を入れることで伝統とモダンを融合させた。

(After)応接ルーム
玄関の一角には気軽に立ち寄れる応接ルームを設けた。
壁にはニッチ棚を設置し、訪れる人を優しい光で迎える。
また床材には、家の部屋の外側を囲む廊下である「縁側(えんがわ)」の「甲板(こういた、板)」が語源である、松の縁甲板(えんこういた・えんこいた)を用いた。

(Before)土間
土間は三和土(たたき)が風化し土埃が立つ状態に。土壁は一部欠落し柱も損傷が激しい状態であった。その為、納屋としても使いにくく放置された空間となっていた。

(After)土間→執務室
長く、納戸として使われていた土間スペースは床に断熱材を入れ、板張りの執務室に。
仕切りで分けられた床には床暖房を設置して快適に事務作業を行えるようにした。

(Before)細かく仕切られた畳の間
壁や床の損傷や汚損がありお客様をお迎えするスペースとしては機能していなかった。住職が衣類を仕舞うスペースや物置として利用していた。

(After)畳の間→広々とした洋室へ
細かく仕切られて使いづらかった畳四間は、二部屋の洋室へと間取りを変更した。
土壁や柱を補修し、照明器具も合わせてコーディネートを行った。
あわせて押し入れスペースには、中二階で保管されていた古い箪笥を活かした飾り棚を設えている。

廃棄寸前の古箪笥を修理し再生。お寺の歴史を飾るギャラリーを提案。
この箪笥は、引き出しに天保の時代に作られた箪笥と判明。このお寺とともに息を吹き返す。

(Before)二階
昭和の時代に、プリント合板や天井材で囲われ物置として利用。壁や窓から隙間風が入り屋根の土埃が落ちて物置としての機能も失われつつあった。

(工事中)二階
天井を剥がすと立派な小屋組が現れた。

(After)二階
天井の小屋組を見せることで、開放感のある空間に生まれ変わった。
建具の新調や土壁を塗り直し昔の雰囲気のまま、清潔感のある収納として利用しやすくした。
新しく設置した階段にはハッチを設け、使い勝手にも配慮している。

壁の塗り直しとともに傷みのあった柱は新しい柱へ交換し安全性に配慮した。

【 時を重ねた本堂を次代へ ― 吉塔寺 本堂改修工事】

設計/施工
なんば建築工房
撮影年
2025年

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